全国災対連ニュース №71

 全国災対連ニュース 2011年2月2日 №71
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 支援法第3次改定が最大課題
  全国災対連総会 活動強化をよびかけ

 全国災対連は1月26日午後、第12回総会を全労連会館で開きました。総会には、兵庫、石川、新潟、三宅島の各被災地と中央の団体・個人、16団体・35人が参加しました。
 議長に千代崎一夫、森永伊紀の両世話人を選出。最初に、田代誠司さん(全気象労組政策検討委員・気象庁天気相談所長)が「近年増える?風水害」と題して特別講演をおこないました。
 田代さんは、日本における平均気温、平均降水量の約110年にわたる経年変化、年間出現数などのデータを示し、次のように述べました。
 「気温は、自然の気候変動の枠を超えて大きく上昇しているようである。▽降水量については、日本の平均降水量としては、やや少なくなる傾向がみられる。▽大雨は変わらないかやや増加傾向にある。▽極端な現象(多雨・少雨、高温・低温)についても多くなっているようである」
 また、マスコミ報道について、「単なるにわか雨を『ゲリラ豪雨』とセンセーショナルに報じたり、温暖化でいかにも異常気象が増加したかのような印象を与えたり、災害の要因が温暖化にあるかのような報道がみられる」と指摘しました。
 最近の災害の特徴については、「都市化に伴って短時間の強雨で河川が急激に増水したり、従来は人の住なかった危険地域が開発されたことで起きている」と、述べました。

 TPPへの参加は、自然災害の増加につながる

 主催者あいさつで大黒作治代表世話人(全労連議長)は、菅内閣がTPP(環太平洋連携協定)に参加しようとしている問題にふれ、「山林の荒廃によって自然災害が1970年代の2倍に増えている。TPPへの参加は、その被害を加速させるものだ。災対連の運動を前進させるためにも共同を広げよう」と訴えました。
 その後、日本共産党中央委員会、ツルネン・マルティ参議院災害対策特別委員長、長島忠美衆議院議員(自由民主党)、井上哲士参議院議員(日本共産党)、山下よしき参議院議員(同)から寄せられたメッセージが紹介されました。

 中山事務局長が総会方針を提案

 総会方針は中山益則事務局長が提案しました。本題に入る前に、被災者生活再建支援法の改正をめぐる情勢について、「総会の前に内閣府と交渉したが、内閣府は年度末までに検討会を開きたいといっていた。しかし、熱い状態ではない」と述べました。
 第11回総会以後の取り組みと到達点の報告は、次のような内容です。
 ①各種制度の改善・変更では、▽被災者生活再建支援法の政令が改正され、適用要件が緩和された。▽局地激甚災害の指定が緩和された。▽小中学校の耐震化診断と改修が前進した。②『災害対策マニュアル』の初版が完売し、柏崎・刈羽災対連の学習会や国会要請に活用された。③2010年1月16~17日の「阪神淡路大震災15周年メモリアル集会」「被災地サミットin神戸」への参加。新潟県長岡市山古志で開催した「被災地復興推進交流集会」の開催。2011年1月16日の「阪神淡路大震災16年メモリアル」への参加。④総務省への要請(消防職員の増員)、全国知事会との懇談、国会議員への要請を3次にわたって取り組んだ。⑤鹿児島県奄美諸島の豪雨災害への支援。⑥請願署名を開始し、3万筆を超えた、など。
 2011年度の運動方針については、「被災者生活再建支援法」の第3次改善運動に全力を挙げ、国会要請行動とともに、すべての政党の「見解を聞く場」(院内集会)の開催などを具体化します。また、政府・自治体に向けた共同の運動を提起し、その中で、①学校耐震診断と耐震化、②生活密着型公共事業の促進、③消防力と情報伝達システムの拡充、④自治体独自の上乗せ制度の拡充、⑤住宅助成制度の確立に向けて取り組むと提案しました。

 被災地の報告・提案に対する討論
 
 報告に対する討論では、被災地代表をはじめ出席者から積極的な発言がありました。発言の要点を紹介します。

民間借り上げ災害公営住宅からの追い出しが大問題に
 段野太一さん(兵庫県民会議・神戸市議) 民間借り上げ(URを含む)災害公営住宅の入居者に、神戸市が20年契約を理由に転居を迫っている問題で、国交省、URと今日(26日)話してきた。この問題は、大震災から16年経って高齢化がすすんでいる中できわめて深刻だ。孤独死も今では話題にならないし、報道もされない。入居のお年寄りは、10年経ってやっと仲良くなったのに、バラバラにされるのが怖い、といっている。URは「柔軟に対応する」といい、住宅の貸し主も92%が「このままでいい」といっているにもかかわらず、神戸市は強硬だ。

 岩田伸彦さん(兵庫県民会議) 神戸市が、民間借り上げ住宅からの追い出しをやろうとしている。県や宝塚市は継続を検討するといっているのだが。UR、国交省は、「神戸市からは事務的な問い合わが1回あっただけだ」といっていた。今度追い出されると被災者にとって4回目のコミュニティ破壊になる。災害援護資金の返済問題も大変な状態なので頑張りたい。

現地に足を運び、署名に取り組む
 五位野和夫さん(柏崎・刈羽災対連) 復興基金事業の期限が迫っている。新潟県は、基金が切れても支援は続けるといっているが、柏崎市では制度枠を縮小しかねない動きもある。市長、職員の態度も不誠実で、市長は「公的支援+民間の保険で」と議会で答弁し、公的責任を回避している。被災の現場では、「思い出したくない」という声も聞かれるが、足を運んで署名に取り組みたい。

被災者に寄り添う救援活動をすすめたい
 長曽輝夫さん(石川災対連) 能登半島震災から近く4年が経過する。復興基金事業は昨年、3年間延長された。生活再建支援法が07年に改正され、使い勝手は良くなった。県災対連は、現地から離れているので足が遠のいている。阪神や新潟の教訓に学んで被災者に寄り添う運動をすすめていきたい。

正確な防災情報を発信するために
 坂本誠一さん(全気象) 総会には初めて参加した。全気象は、気象庁の地方出先機関の廃止に反対し、「防災情報は国の直接的な責任でおこなうべきだ」と要求している。私は地震の専門だが、岩手県北部地震で震度計の不正確なものが見つかった。県に補修を申し入れたが、予算がないので消防庁が金を出してくれなければ直せない、と苦しい財政事情を話していた。

民間住宅に移れば、4倍の家賃負担
 堀内照文さん(兵庫県民会議) 住居は命に直結する問題だ。災害公営住宅から出て、一般の民間住宅に入居することになれば家賃は4倍になる。URも入居条件が厳しい。神戸市長は「返還が前提」とかたくなな態度をとっている。契約が切れる4年先に向けて運動していく。

液状化など、東京の震災問題を検討
 坂巻幸雄さん(日本科学者会議) 2~3月の都議会では、築地市場の豊洲移転が論議されるだろう。日本科学者会議は、2月13日に環境問題を主題にしたシンポジウムを開く。防災問題では、液状化現象や地盤災害が重大な課題なので、知事選の争点にしなければならない。

「震災障害者」「復興災害」の問題
 高山さん(兵庫県民会議) 「震災障害者」が多数いらっしゃると思われる(障害者手帳のデータでは300人だが)。平時の障害者とは性格が違うので特別の救済が必要だ。それと「復興災害」ともいえる、倒壊した建物の解体に従事した人のアスベスト汚染問題がある。危険性が長期に潜伏するのでチェックすべきだ。

5月に三宅島で東京災対連総会を
 伊藤潤一さん(東京災対連) 三宅島雄山の噴火災害は、全島避難から11年、避難先から帰島して6年になる。東京災対連は、この間2回現地調査をした。まだ東京都内に避難した人が残っており、運動の継続がむずかしい。5月に支援を兼ねて三宅島で東京災対連総会を計画している。

高濃度地区への居住は解除されたが
 平川大作さん(東京災対連・三宅村村議) ガス高濃度地区への居住が、(高感度受性者、要介護者、19歳以下の者は除く。営農・民宿はできない)などの条件付きで解除されたが、家の傷みが予想以上にひどい。ふれあい基金20万円、ボイラーなどの補修費として30万円、義援金145万円、合計195万円の補助が出るが足りない。「帰りたくても帰れない」と泣かれる。コミュニティの崩壊でバラバラにされたので、うつ病の人が増えている。島は流通経路が多いので、ガソリンは1リットル200円以上、軽油160円、灯油150円と大変高い。

 中山事務局長がまとめの発言

 内閣府が今年度内につくるといっている検討会に、被災者の声を届ける工夫が必要だ。
 地方で解決しなければならない課題を、いっせい地方選挙でとりあげて争点に引き上げていこう。コミュニティについての発言が神戸、三宅島から出されたが重要な問題だ。石川災対連から、反省点として発言があったが、現地要求なくして運動はつくれないので、努力してほしい。
 全国災対連は結成12年。被災者生活再建支援法の見直しに向けて力を出してもらいたい。

 住江憲勇代表世話人(保団連会長)が閉会あいさつ

 1月16、17日に神戸でおこなわれた阪神淡路大震災16年メモリアル集会にも出席した。被災者救援は、全国民的な喫緊の課題だ。菅首相は国民の要求に目を向けていない。今年は支援法見直しの年だが、3年前の高揚は今はない。再度あの時のような運動をつくっていこう。
             ◇
 総会は、議案を全会一致で採択しました。また、代表世話人(大黒作治、住江憲勇、合志至誠)、世話人(17人)を提案名簿通り承認しました。平川大作世話人(東京災対連)は新任、それ以外の19人は再任。総会後の第1回世話人会で、事務局長に中山益則、事務局次長に羽田範彦、谷川正嘉(いずれも再任)を選出しました。(いずれも敬称略)


 総会に先だち内閣府交渉と国会議員要請

 1月26日午後の全国災対連総会に先だつ同日午前、全国災対連は被災地代表とともに内閣府交渉と国会議員(衆議院災害対策特別委員)要請をおこないました。

◇内閣府交渉 兵庫県民会議、新潟災対連の代表と中央団体世話人が出席。内閣府からは参事官補佐の2人が対応。被災者生活再建支援法の見直しについて内閣府は、「2007年の改正で法律的にはほぼ制度設計が出来ている。支援額300万円を500万円に引き上げることなどは、役所では限界なので、国会で問題にしてほしい」「支援法見直しの検討会は3月ぐらいに設置し、何回か議論して夏には結論を出したい」と答えました。

◇国会議員要請 全国災対連世話人と新潟から参加した7人で衆議院災害対策特別委員40人と他に3人の国会議員の事務所を訪ね、支援法の改善と請願署名提出の紹介議員になってほしいと要請しました。