全国災対連ニュース №57

             新たな課題の解決に向けて
     全国災対連・新潟災対連 共催 全国交流集会で討論
                              全国災対連ニュース №57


 全国災対連は新潟災対連と共催で「被災者が主人公の生活再建と地域
振興を考える 災害復興研究・運動全国交流集会」を8月30日・31日の両
日、中越沖地震で被災した新潟県柏崎市の産業文化会館で開きました。
集会には全国災対連加盟団体や地元の被災者、各地自治体の議員など
164人が参加し、2日間にわたって熱心に討論しました。
 今回の全国交流集会は、災対連役員と研究者8人で研究チームをつくり、
事前に中越沖被災地で聞き取り調査をおこなったうえで、「提言Part1」(制
度・政策課題=報告者は宮入興一愛知大学教授と立石雅昭新潟大学教授)、
「提言Part2」(支援運動のありかた=報告者は中山益則全国災対連事務局
長)にまとめ、全体の討論で深めることにしました。
 1日目の主催者あいさつで全国災対連の住江憲勇代表世話人は「被災者
復興に対する政治の役割は大きい。討論によって課題を明らかにしてほしい」
と述べました。新潟災対連の山崎栄三代表は「元のところに帰れない被災者
がいる。コミュニティを大切にしながら復興をすすめたい。そのためにも、当面
する新潟知事選で県政を変えたい」と述べました。開催地の五位野和夫柏崎・
刈羽災対連事務局長が歓迎のあいさつ。来賓として出席した会田洋柏崎市長、
高橋千鶴子日本共産党衆院議員がそれぞれあいさつしました。
 また、泉田裕彦新潟県知事、岡村譲川口町長、刈羽村、日森ふみひろ社民
党衆院議員、近藤基彦自由民主党新潟県連会長、武田かつとし日本共産党
国会議員団新潟県事務所長、仁比聡平日本共産党参院議員、全気象労働組
合から寄せられたメッセージが紹介されました。
 ◇改正支援法の評価と残された課題
 「提言Part1」報告者の宮入教授は「被災者の生活再建と地域社会の復興へ
の展望」と題して講演しました。
 宮入教授は、2007年11月に改正された被災者生活再建支援法について、
国民の世論と運動を背景に支援金の使途制限、年収・年齢要件が撤廃された
ことはホームランだったと評価しました。さらに、被災者住宅の再建と居住の確
保が、生存権・生活権保障の普遍的な中身として確立された意義は大きいと述
べました。
 改正後に残された課題として、①地域に一定数以上の全壊戸数がないと、全
壊家屋でも適用されない。水害に対しては適用の規定がない。②支援金の支給
額(最高300万円)が低い。③長期避難に対する認定が改悪されて厳しくなった。
④半壊・一部損壊は認定外。⑤被害認定に欠陥がある。全壊か、大規模半壊か、
半壊かの認定の差で天と地の違いが出る。また、地盤災害に対しては制度的な
欠陥があり、個人の宅地被害には基本的に対策がとられていないと指摘しました。
 ◇原発依存でゆがめられる自治体財政
 立石教授は、「原発に頼らぬ地域社会の復興を」と題して映像を写しながら、原
発をめぐる問題点について次のように述べました。
 ①今回の地震について東電は、想定外の揺れだという。しかし、この程度のあり
ふれた規模の地震を想定していなかったということが問題だ。地質構造や断層は
分かっていないことが多い。30~35年以内にM6.7~7.3クラスの地震が予想
されている新潟-神戸ひずみ集中帯、東海地震の予想地帯に、若狭、浜岡、女川、
三方の原発がある。②今回の地震によって東電は2693億円の特別損失を計上し
ている。これにともなう減収を埋めるため柏崎市は18億円の基金を取り崩す事態に
なった。電源三法の交付金は2004年度(予算ベース)で約824億円で、原発依存
によって自治体財政にひずみが生まれている。③柏崎市の復興計画によると、安全
性の確保を前提に原発との共存を図るというが、財政的依存から脱却することは容
易ではない。
 そして、「原発依存から脱却する上で自治体労働者の役割が大きい。住民の痛み
や苦しみを共有しながらどういう方向で復興してゆけばいいのか真剣に考えてほしい」
と訴えました。
 ◇ ”被災者が主人公”を貫いた運動の展開を 
 「提言Part2」は「被災者を主人公にした生活再建に向けて」と題して、中山全国災対
連事務局長が報告しました。報告では、①阪神淡路大震災被災者のたたかい、②住
宅への公的支援実現の転機をつくった鳥取西部地震被害者支援、③支援法の欠陥の
実証と新たな復興基金事業、④さらなる前進をつくった07年秋の臨時国会、それぞれ
の時期の到達点と教訓を明らかにしました。
 その上で、復興闘争を取り組むにあたって4つの提言を示しました。
 ①常に”被災者が主人公”を貫いた生活再建運動の展開を。②被災者に寄り添った
要求を行政や政府に。③要求から出発した国と自治体に既存制度の拡充適用と新た
な支援策を。④あらゆる団体・個人との共同を求めて。
 防災・復興に向けての課題についても4つの提言を示しました。
 ①日常的に地方自治体に対し、防災に強いまちづくりを求める。②災害時の避難所
に利用される学校など公立施設の耐震化の促進。③地方自治体に上乗せなどの独
自支援施策の制定。④改定「支援法」などのいっそうの改善を求める。
◇分科会で討論
 1日目と2日目の分科会(「制度・政策課題について」と「運動のありかた」)では、
「提言」をもとに討論を深めました。「制度・政策」の分科会では、被害認定について討
論が交わされされました。被災者から多くの不満が出ており、再調査すると2ランク違
うケースもあったと報告され、民主的な認定に改善すべきだとの意見が出されました。
地盤被害の認定では、水平面のずれは評価されないなどの問題が指摘されました。
 「運動」の分科会では、阪神淡路大震災の被災者が13年経過した今も、災害貸付
金の返済で困難を抱えている実態が報告されました。当時、住宅への公的支援制度
がなかったことが根本的な要因であり、融資ではなく支援金の給付の重要性が強調
されました。
 2日目の分科会の後、全体会が開かれ、阪神淡路大震災被災者の現状(神戸市の
森本さん)、中越沖地震被災者救援運動(柏崎市の大谷さん)、岩手宮城内陸地震の
被害状況(一関市の菊池さん)についてそれぞれ発言。最後に「集会アピール」採択し
て閉会しました。
                      ◆
 集会の他に現地企画として、1日目は「仮設住宅で暮らす被災者との懇談会」、2日
目は「柏崎刈羽原発見学」「被災地を回るツアー」をおこないました。