全国災対連ニュース №60

  全国災対連ニュース 2009年6月3日 №60
                 (全国災対連ニュース№60.pdf)
          首都の震災にどう備えるか
    東京災対連がシンポ 行政、市民の対応など討論


 東京災対連は「首都直下型地震にどう備えるか」をテー
マにしたシンポジウムを5月31日、都内池袋の豊島区民セン
ターで開きました。全国災対連が後援し、阪神・淡路大震災
救援・復興兵庫県民会議(兵庫県民会議と略)、石川、新潟、
岩手の被災者支援団体など45人が参加しました。
 開会あいさつで伊藤潤一東京災対連事務局長は、シンポ
ジウムの目的について「首都直下型地震が30年以内に70%
の確率で予測されているもとで、個々の危険要因抑制だけ
でなく都市基盤そのものの安全対策、地域ぐるみの防災ま
ちづくりをどうすすめるか、自治体・議会の果たすべき役
割などを検討するために開催した」と述べました。
 シンポジストは、藤井陽一郎・茨城大学名誉教授、渡辺
実・まちづくり計画研究所所長、山口薫・兵庫労連特別幹
事、現職消防職員の4氏。コーディネーターは中山俊雄・
日本科学者会議災害問題研究委員会委員長が務めました。
 複雑多様な南関東直下のプレート構造
 シンポジスト藤井さんの発言から 藤井さんは首都圏直
下型地震発生のメカニズムについて説明しました。「南関
東の直下のプレート構造は、南関東が属する北米プレート
の下にフィリピン海プレートが沈み込み、さらにその下に
太平洋プレートが潜り込んでいるというように、3枚のプレ
ートがぶつかり合っており複雑多様だ」。「直下型地震に
ついては阪神淡路大震災を契機に注目され、東京で同様の
地震が発生した場合、密集した木造家屋の倒壊による多数
の圧死が想定され、木造家屋の耐震補強など新たな地震防
災が大きな課題になっている」と述べました。そのうえで、
中央防災会議が18タイプに絞り込んで選定した、東京都心
部と都心周辺部で発生しうる想定地震(裏面の注参照)を
紹介しました。
 
 大都市東京の被害は3次元的対策が必要
 シンポジスト渡辺さんの発言から 渡辺さんは、首都直
下型地震の30年以内の発生確率が全国ワースト8に位置して
いると述べ、これに備えるキーワードとして「若い世代の
防災力向上」をあげ、自分の研究所では漫画本やゲームソ
フトつくって啓蒙しているといいました。国や自治体で被
害の数量的想定が出されているが、どんな災害が起きるか
イメージする必要があると指摘。巨大都市特有の「災害の
顔」として①帰宅難民、②避難所難民、③高層難民の3つ
をあげ、林立する超高層ビルや地下40メートルの地下鉄駅
の被害想定は従来の発想では考えられない3次元の発想が
求められていると訴えました。
公的支援を求める運動が重要
 シンポジスト山口さんの発言から 山口さんは、19995年
1月17日の阪神淡路大震災の体験と教訓について話しました。
「当時市民の多くは、神戸に地震は来ないと思っていた。
しかし、国は『特定観測地域』に指定するなど、危険性を認
識していたにもかかわらず必要な手立てをとっていなかっ
た」と述べ、情報公開と事前の防災対策の重要性を指摘しま
した。そして、震災後14年が過ぎた今も被災者は二重ローン
の負担に苦しみ、孤独死が絶えないなどの実情を話しまし
た。そのうえで、震災後立ち上げた兵庫県民会議の経験を紹
介し、国や自治体に公的支援を求めていく運動が重要だと述
べました。
 広域化による消防力低下を懸念
 
 シンポジスト消防職員の発言から 阪神淡路大震災は、大
規模災害に追いつかない消防の実態が明らかになり、消防体
制の変革を迫るものだったと述べました。職員の立場で現在
の消防行政を見ると、「2004年の国民保護法が制定された以
後、災害対応型から有事(武力災害、テロ災害)対応型に大
きく変質した。地方自治体にも『有事』対応の担当部署がつ
くられ、そこに現職の自衛官が派遣されている」と指摘しま
した。もう一つは、「消防の広域化がすすめられ、人口30万
人に満たない自治体は複数の自治体で広域連合をつくり、そ
こを単位として消防職員を配置するのだが、結局は従来の職
員数より少なくなり消防力の低下につながる」と述べました。
 会場からの発言
 シンポジストの発言の後、会場から発言がありました。
「明るい革新都政の会」の代表は、東京都の防災・減災対策
は「お寒い現状だ」と批判しました。日本共産党の松村都議
は、「学校耐震化条例を提案。08年に実現し耐震化が促進し
た。問題は一般住宅の耐震化だ」と述べました。都内民間レ
ベルでは、板橋区、江東区、三宅村の取り組みについて報告
がありました。
 新潟災対連(宍戸さん)、柏崎災対連(五位野さん)、兵
庫県民会議(岩田さん)からは、震災後の経過と現状、被災当
時とその後のコミュニティの変化についてなど、多面的な発
言がありました。
 シンポジスト2回目の発言とまとめの発言
 シンポジストの2回目の発言では、「自治体の防災計画を
住民がチェックする必要がある」(山口さん)、「『自助・
共助・公助』とひとくくりにするのはおかしい。公的責任を
明確にすべきだ」(渡辺)、「構造物の耐震化がカギ。コンビ
ナートの対策が空白になっているが重要だ」(藤井)などの発
言がありました。コーディネーターの中山さんが討論のまと
めとして、「減災をどうすすめるか、木造密集地の問題、若
い人の防災力、など大都市が抱える新しい事態について討論
された。これらを要望として取り上げていきたい」と述べ、
坂巻幸雄・東京災対連が閉会のあいさつをしました。
(注)中央防災会議が選定した18タイプの想定地震
▼プレート間地震(東京湾北部地震) M7.3 ▼都心東部直
下地震 M6.9 ▼都心西部直下地震 M6.9 ▼さいたま市
直下地震 M6.9 ▼千葉市直下地震 M6.9 ▼川崎市直下
地震 M6.9 ▼横浜市直下地震 M8.9 ▼立川市直下地震
 M6.9 ▼羽田直下地震 M6.9 ▼市原市直下地震 
M6.9 ▼成田直下地震 M6.9 ▼関東平野北西縁断層帯地
震 M7.2 ▼立川断層帯地震 M7.3 ▼伊勢原断層帯地震
 M7.0 ▼間縄・国府津-松田断層帯地震 M7.5 ▼三浦
断層群地震 M7.2 ▼プレート境界茨城県南部地震 M7.3 
▼プレート境界多摩地震 M7.3